お茶飲みと称するカフェ
かつて、農家の集落では、ほとんどの家にお茶とお菓子、そして自家製の漬物が用意されていた。人が集まれば、いつでもカフェと化した。
これが地元の人たちがお茶飲みと称するカフェである。「今から~さんの家にお茶飲みに行ってくる」
そこは、婦人たちが集い、おしゃべりを楽しむ癒しの空間であり、パソコンもスマホもない時代の情報交換の場でもあった。
しかし、今では、そういった光景は、あまり見られない。
今や情報は、家に居ながらにしてインターネットをはじめ、多岐に亘る手段によって、容易に入手することができる。
また、専業農家が減り、街に車通勤することで別のコミュニティを持つ人が増えてきた。交友範囲もひろがり、このライフスタイルの変化が近隣との繋がりを希薄にし、お茶飲みという空間を必要としなくなったのであろう。
かつての婦人たちも年をとり、近所に出かけて行くことさえままならない。
こうして、集落の懐かしい光景がまた一つ、消えてゆく。
のんびりしたいい時代だった。
時には、足早に歩くのをやめて、流れが緩やかだった時代にタイムスリップしてみるのもいい。
Written by R
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